日中戦争期湖南省兵器工廠跡地:民国政府第十一兵工廠煙溪旧址
2025年春の旅は、雲南省中緬国境地域から、一度、ラオス国内に入国して、もちろん、全体に占める割合から見れば、レアなケースなのでしょうが、児童就労の現実を目の当たりにした上で、再び雲南省に戻り、さらに湖南省まで、茶等の特産品の産地を廻るとともに、日中戦争や国共内戦といった戦争と平和、ならびに民主化関連史跡等にも足を運んでみました。なお、中緬国境地域の訪問は、オンライン詐欺集団の撲滅等を合言葉に、ミャンマー1027作戦が発動された2023年以来、これで3年連続となりました。前年の2024年はミャンマー国内で徴兵制が実施されることになり、自殺者も出ているという緊急事態でしたので、敢えてリスクを負って、現地から、ほぼタイムリーに情報を発信したりもしましたが、2025年は打って変わって4月末に現在の本拠地である上海に戻ってきた後、まずは越境販売業務の発展を優先し、一定の期間が経過するのを待ち、リスクが多少は下がっただろうと思われる今、そろそろ始めようと思います。さて、どこから語り始めるかということになると、迷うところではありますが、今年は戦後80年に当たりますので、まずはセンシティブでインパクトのある場所からということで、今回の動画を作成してみました。
湖南省益陽市安化県は安化黒茶や安化紅茶で有名な茶の産地です。安化県に到着後、現地の茶業者さんに山中の茶畑や加工場を案内していただいたり、民営の茶葉博物館を参観させていただいたりしました。また、すぐ隣の婁底市新化県は、清朝末期の民主革命家・陳天華先生の故郷でもあり、関連史跡を廻ったりしたため、現地での滞在日数が少し長くなりました。
実は、本動画の撮影の前日2025年4月18日は比較的良い天気であり、早朝に出発して、始発の安化県平口港へ行ったところ、2024年にトンネルを含む道路が開通して、2025年から県庁所在地の東坪鎮へ向かう長距離バス路線の開設により、資江・柘渓ダム内を航行する船便は減便となって、早朝の便はなくなっていました。今からでは煙溪鎮へ向かうバスの早朝第一便にも間に合わないということで、また一日遅れることになってしまいました。それゆえ、撮影当日2025年4月19日午前中は途中から雨が降るという天気予報ではありましたが、早朝6時半過ぎに出発し、始発の平口ターミナルからバスに乗り込みました。
幹線道路沿いの最寄りのバス停で下車したのが午前8時頃であり、このとき、天候はまだ小雨程度でしたが、その後、現地の気象台から暴雨黄色・橙色警報が発令されたようです。思い返せば、2016年に福建省の土楼地域においても大雨に見舞われたことがありましたが、今回はさらに雷も伴っているので、時々、建物の軒下でスマホを操作して、配車アプリも試したりもしてみましたが、やはり、この天候では外出する人は少ないのでしょう。また、場所が場所ですし、リスクもありますので、目的地である双煙村までは、バス停から直線距離で8km程度、実際には10km余りの距離がありますが、激しい大雨と雷鳴となる中を徒歩で目的地に向かいました。雨量が大きく、雨水の浸透や温度変化により、レンズが曇ってしまって、撮影に影響があったので、編集時には、一部の写真に簡単な調整を行いました。また、後日には、鞄の中に入れていたラオスの紙幣に黒カビが生え、パスポート上のラオス出入国スタンプもかなりぼやけてしまっていました。
話を元に戻すと、道中、目にするのは、やはり、山と茶畑で、茶工場もありました。十八渡大橋では、風が強く、紛失してしまった丈夫な傘に代わって前日に急遽購入した安物のビニール傘は骨格が折れてしまったりしました。さらに進んで行くと、双煙村の入口に、「中国伝統村落│抗戦双煙歓迎您」との大きな看板がありました。現在は観光地として、旅行客の到来を歓迎しているようなので、本当に良かったです。
この頃には、雷雨はもう収まっていました。復路は船便を予定していて、時間的に余裕はなかったので、ごく一部しか廻れませんでしたが、それでも、当時、弾薬充填、軽機関銃製造、機械修理等が行われていた兵器工廠跡地に赴き、その付近の山裾に、今でも現存する多くの防空壕を目にすることができました。防空壕は人工的に掘られたものが多く、旧日本軍による空襲時の避難場所や臨時の物資貯蔵場所として利用されたようです。また、空襲による破壊を免れて現存する唯一の歩哨所があり、その隣にある尹初公祠(尹氏宗祠)も空襲によって大部分が破壊されましたが、その後、再建されて、現在は博物館として利用されています。残念ながら、当日は開いていませんでした。双煙村という村名の由来となった蒸気機関発電用の煙突も空襲によって破壊され、台座部分のみが遺構として残っていました。他にも、手榴弾を製造していた作業場の遺構等があるようです。
歴史をさらに振り返ってみると、民国政府第十一兵工廠の前身は、袁世凱統治期の北洋政府によって設立され、民国政府の四大兵工廠の内の一つであった軍政部兵工署孝義兵工廠(鞏県兵工廠)であり、日中戦争の勃発により、立地する河南省鞏県孝義鎮では地理的リスクがあるため、各地を移転する中で、この地に転入してきましたが、旧日本軍による空襲を受けて、再び転出となりました。その後、国共内戦期においても、各地を移転した後、海南島から台湾に移転し、第六十兵工廠に編入され[1]、現在、高雄にある第二〇五廠に当たるようです。
当局によって建てられた民国政府第十一兵工廠煙溪旧址の碑のある場所周辺に辿り着くと、当日は土曜日で休日の雨上がりだったからか、二人の子どもさんが犬を連れて登場してきて、楽しそうであったのは、平和の良さを訴え掛けてくれているような感じもしました。時間の関係で、周辺を軽く廻ってから、復路として乗船する予定の船便の時刻に間に合うように、急いで船着き場へ向かいました。その途中で、当時の「戦地医院」(野戦病院)跡地の入口前も通り過ぎました。
前日に始発の平口港で船便の発着予定時刻を職員さんに聞いた際に、特に示唆されませんでしたが、この「新碼頭」という名称の船着き場は途中の経由地なので、下船する旅客がいなければ、事前に予約しない限り、自動的に省かれて直行するので、やはり、迎えに来ることはないようです。ちょうど接岸した漁船から下船して帰宅される地元の方々がいて、事情を知って、親切にも、当日午前中に下車した幹線道路沿いのバス停までついでに自動車で送ってくださいました。その後、配車アプリを少し試したりもしましたが、結局、直線距離で20km余り、実際には35km弱の道程を徹夜で歩いて平口鎮の宿泊施設まで戻りました。兵工廠跡地から船着き場までも数kmの距離があるので、合計で50km弱の距離を歩いたことになるだろうと思います。食事は、初日早朝に買った餅を食べた後、翌朝に平口鎮まで戻ってきてからようやく麺を食べました。
特筆事項として、道中にトンネルが一か所あり、復路で言えば、その少し手前側に、1915年サンフランシスコ万国博覧会(パナマ・太平洋万国博覧会)での金賞受賞から110周年、2015年ミラノ国際博覧会での金賞受賞から10周年となった安化煙溪紅茶を宣伝している看板を見掛けました。1915年の万国博覧会は、辛亥革命を経て成立した中華民国政府の下、中国が初参加した国際的博覧会でした[2]。
この続きは、今後機会があれば、別の動画にて紹介したいと思いますが、宿泊施設で一時間程、横になった後、チェックアウトをし、茶業者さんにもご挨拶した上で、長距離バスに乗って、県庁所在地の東坪鎮に向かいました。本当にハードな行程でした。
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ところで、日本国内では、2025年に厚生年金への加入要件が緩和されたりしたので、200万人規模の日本の社会保険への違法未加入問題[3]は、ある程度、解消されつつあるのでしょうが、中国大陸においても、とりわけ、外国籍労働者の中国従業員社会保険への加入問題は中国国内法規のみならず、国際人権規約A規約第9条にも関わり、すなわち、世界人類の社会保険権に関わる人権問題なのであります。日中社会保障協定が署名・発効となったのは2019年でしたが、私は早くも2009年から現地採用外国籍労働者上海社会保険加入闘争を闘い、上海における4社目は、日本の経団連構成企業の海外関連法人でしたが、違法解雇を仕掛けてきたため、労働仲裁、強制執行、付帯労働訴訟一審、二審、再審に通報、陳情等の合わせ技で、2014年に社会保険料の追納に成功しました。2015年の上海交通事故被害等にも屈することなく、2016年の会社設立以来の赤字続きですが、過去に勝ち取った違法解雇賠償金や交通事故賠償金等を原資として、一人で支え、運営しております。国際情勢の変化により、今では、中国というこの二文字を見ただけで、恐れおののいたり、逆に敵愾心が燃え上がってしまわれる方もいらっしゃるかとは思いますが、今の中国でも、ここまで闘えるのです。ご贔屓の程、ぜひとも、よろしくお願いいたします。
[1]中国国家历史「沉睡在烟溪的第十一兵工厂」2022年12月12日、https://news.qq.com/rain/a/20221212A06Z4I00
[2]安化县人民政府「巴拿马博览会获奖茶叶到底是哪些?」2020年8月5日、http://www.anhua.gov.cn/1958/1967/2335/content_659010.html
[3]長妻昭「厚生年金違法未加入二百万人問題に関する質問主意書」2016年1月25日、https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190086.htm
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